第19回 中性脂肪とコレステロール
2010.5.3 - [健康]
中性脂肪やコレステロールを下げる、という表示のある商品をテレビや店頭で目にしますが、これらがどのようなものかご存知でしょうか?中性脂肪とコレステロールは血液中の脂質の一種であり、増えすぎると動脈硬化を引き起こし、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞につながるケースも…。今回は中性脂肪とコレステロールをテーマにお話しします。
■動脈硬化の原因!中性脂肪とコレステロール
1.LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
増えすぎると血管壁の中へ入り込み、動脈硬化の原因となります。このような性質から、悪玉コレステロールとも呼ばれています。
2.HDLコレステロール(善玉コレステロール)
血管壁に溜まったLDLコレステロールを取り除く働きがあります。動脈硬化のリスクを下げるため、善玉コレステロールとも呼ばれます。
3.中性脂肪
体のエネルギー源ですが、過剰にとるとHDLコレステロールを減らしてしまい、動脈硬化が起こりやすくなります。
■動脈硬化はこうして起こる
LDLは増えすぎると血管壁の中に入り込み、右の図のように血管の内部を狭くしてしまったり、炎症を起こしたりします。すると血管壁が硬くなり、壊れやすくなります。この状態を動脈硬化といいます。この状態が続くと血管が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす可能性があります。
■動脈硬化のリスクを減らすには?
血液中の中性脂肪やコレステロールの量は健康診断や人間ドックによって知ることができます。以下の項目が1つでも当てはまる方は、動脈硬化になるリスクが高いといわれています(脂質異常)。
・LDL(悪玉)コレステロール値 140mg/dl以上
・HDL(善玉)コレステロール値 40mg/dl未満
・中性脂肪 150mg/dl以上
動脈硬化を防ぐためにはLDLコレステロール値、中性脂肪を減少させることがポイントです。具体的な方法は食生活の見直し、運動、禁煙、薬による治療です。特に食事に対策と運動は合わせて行うことが大切です。
■中性脂肪・コレステロール対策の食事
肥満のある方は体重を減らすことによってLDLコレステロールを減少させることができます。脂肪分やコレステロールを多く含む食品の摂取を控える、食事の量を減らす等の方法があります。例えば、缶コーヒーよりもお茶を飲むようにする、よく噛むことを意識して食べる…といったものです。
やせている人は食品に含まれるLDLコレステロール値を意識することが重要です。コレステロールを多く含む物は食べない!!というのではなく、「控える」という気持ちでいましょう。あれもダメ、これもダメでは長続きしません。
1日のLDLコレステロール摂取量の目安は300mgです。また、食品の中にはコレステロールを排出する働きのある物もあります。
●コレステロールを多く含む食品の例
・卵( M サイズ 1 こ) 210mg ・牛レバー( 100g ) 240mg
・たらこ( 1/2 腹) 175mg ・ししゃも( 3 匹) 145mg
●コレステロールを排出する食物繊維を多く含む食品、抗酸化作用のある食品
食物繊維は1日25mgとることが目標です。 野菜、きのこ、ナッツ、豆類、いも類、海藻類に多く含まれます。
また、抗酸化作用のある食品は動脈硬化の進行を抑えるはたらきがあります。
緑黄色野菜や緑茶には抗酸化作用があります。緑黄色野菜は 1 日あたり小鉢 2 杯くらいとるとよいでしょう。