第81回 うつ病
2015.8.11 - [病気]
ひとはいろいろな事で気分がふさぎ込み、元気が出なくなります。落ち込んだり悲しんだり不安になったりむなしい気分になるのは誰にでもあることです。たいていは自分の力で元気を取り戻して生活を続けます。しかし、時にいつまでも気分が沈んだままで回復できず、体の不調までもたらし、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。このような、こころが疲れきってしまい医療の助けをかりることが必要な「うつ状態」「うつ病」と呼ばれる状態になることもあります。
■うつ病とは?
わかりやすく言うと、心が疲れた為に、気分が憂鬱で元気が出ない状態を「うつ状態」と言います。ある程度以上のうつ状態が持続して(例えば2週間以上)現れる病気を「うつ病」と呼びます。うつ病の症状は気分が沈んでしまう心の症状と体の調子が悪くなる体の症状の両方に現れるのが特徴です。
心の症状
・気分が沈む
・意欲の低下
・思考の異常
・不安、焦燥 など
体の症状
・眠れない、朝早く目が覚める
・食欲がなくなる、食べてもおいしくない
・体がだるい
・頭痛、腹痛など理由がわからず調子が悪い など
■なぜうつ病に?
うつ病を引き起こす誘因は一つではありません。その人が持っている性格や環境などいくつかの要因が積み重なってうつ病は発症すると考えられています。
・からだの病気などが原因になることも
脳梗塞、心筋梗塞、甲状腺機能の亢進症または低下症、更年期障害、など
■うつ病とは脳の病気です
うつ病は、「気の持ちよう」や「こころの弱さ」から起こるのではありません
私たちの脳内の情報伝達は、神経細胞間の接合部(シナプス)を介して行われます。この情報伝達が阻害されるとうつ病になると考えられ、人間の感情や思考をつかさどる前葉頭で特に起こっているとされています。
■どこに受診?
気分が憂鬱だったり、気力がわかなかったり、眠れなくなったりしたら、精神科(精神神経科・メンタルクリニック)を受診しましょう。心療内科で診てくれる場合もあります。
ちなみに、神経内科は脳や神経系の病気が専門なので、混同しないように注意して下さい。
■ストレスをためないために
・「まじめで几帳面」「融通がきかない」などの性格を自覚して、普段から無理をせず、ストレスの原因となるものを避けましょう。
・生活上の大きな変化があったときは、要注意。心や体に疲れがたまらないように、十分休養しましょう。
・体調が悪かったり、気分が沈んだりすることがあれば、心身が休養を求めて信号を発信していると考えてみましょう。
・適度な運動はストレスに対する抵抗力を高め、気分転換につながります。
何事も完璧を目指すのではなく、気持ちに余裕をもって「八分目」がちょうどいいと考えるようにしましょう。ゆとりが大切です。
自分の心身の健康を自分で守っていきましょう!