第103回 骨粗しょう症
2017.6.19 - [病気]
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は骨量が減少し、もろい状態に変化し骨折しやすくなる病気です。
年をとるとともに増え、60歳以上では約5分の1の人がなっているというデータもあり、女性に多い点も特徴です。
骨粗しょう症や骨折は高齢者の問題と思いがちですが、50代の比較的若い世代から注意が必要です。
■骨粗しょう症の原因
骨は成長期に一度できあがったらずっと変わらないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はお肌と同じように、常に古い骨を溶かしては新しい骨に作り変えるという新陳代謝が行われています。
健康な骨はこの新陳代謝がバランスよく行われ丈夫に保たれます。
特に女性は、女性ホルモンが骨の健康管理の大きな部分をつかさどっています。
ところが何らかの理由で新陳代謝のバランスが崩れると、古い骨を溶かす働きがどんどん進み、新しい骨を作る働きが追いつかなくなって骨が弱くなってしまいます。これが骨粗しょう症になる主な原因だと考えられています。
■骨密度と骨質
骨の強さは骨密度と骨質が関係しています。
骨密度は、骨の新陳代謝によって作り変えられることで一定に保たれますが、20~30代をピークに加齢とともに低下していきます。
そして女性の場合は閉経により、50歳代を過ぎると急激に低下します。
骨の構造を建物の構造に例えるとコンクリートに相当するのがカルシウムなどのミネラル類で、鉄筋に相当するのがコラーゲンなどのたんぱく質です。
この鉄筋に相当する部分の強さが骨質に当たります。
その為、コラーゲンなどのたんぱく質がしっかりと繋がっていなければカルシウムをいくら摂っていても骨は弱くなってしまいます。
■寝たきりを防ぐ、骨粗しょう症対策
骨粗しょう症の予防としては骨密度を上げて骨を丈夫にすることです。
具体的には運動と食事の改善が重要となってきます。
骨は負担をかけるとそれに応じて強くなるので運動を続けることで骨密度も上がります。
骨折に特に注意が必要な部位の「背筋」と「下半身」を中心に鍛えたり、転倒を防ぐために「バランス感覚」を鍛えるのもポイントです。
下半身を鍛えるには「ウォーキング」がおすすめです。
高齢者では、例えば階段の上り下りや散歩の時間を増やすだけでも良いでしょう。
しかし転びやすい人や、骨粗しょう症がある程度進んでいる人は屋内でできる安全な運動もあるので、無理な運動は控えましょう。
食事では骨や筋肉を作るのに必要なカルシウムやビタミンD、ビタミンK、たんぱく質などの栄養素を積極的に摂ることが大切です。
アルコールは多量に摂取すると骨を作る働きが阻害され、骨がもろくなります。
また、リンは食品添加物として一部の加工食品やインスタント食品などに含まれていますが、摂りすぎるとカルシウムが体外に排出されてしまったり、カルシウムの吸収が悪くなるので注意が必要です。
■骨粗しょう症の早期発見を
骨がスカスカになるだけでは特に自覚症状は現れません。
骨密度測定を受けて確認などしない限り、骨粗しょう症が進んでいることに気付くことは困難です。
気付かないうちに骨がもろくなり、骨折してから気づく人も少なくありません。
最も多いのが背骨の骨折です。
しかし、折れたという自覚のないまま一つ二つと連鎖的につぶれるように骨折していきます。
若いころより身長が4cm以上縮んでいたら、すでに骨折している可能性があるので、2cm以上身長が縮んでいたら一度検査を受けてみましょう。
また、50歳を過ぎると骨粗しょう症になるリスクが高くなるので、下にあげた項目があてはまる方は食事や運動に気を付けるとともに定期的に骨密度測定を受けて自分の骨チェックをしておきましょう。
・50歳以上
・閉経後の女性
・閉経が早かった
・体重が軽すぎる
・過度なダイエットをした人
・運動不足の人
・喫煙、過度の飲酒をする人
・家族に骨粗しょう症の人がいる、あるいは太もものつけ根を骨折したことがある
・糖尿病、あるいは慢性腎臓病
・ステロイド薬を使用している
・関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症などと診断されたことがある
高齢化が進む日本では、骨折で要介護となる人の増加が社会的な問題となっています。
骨折、転倒は、脳卒中や認知症などと同じく要介護の大きな原因の一つです。
特に太もものつけ根を骨折すると歩けなくなるため、他の病気を悪化させることになったり、そのまま寝たきりになることもあるので注意が必要です。
その為このような骨折を防ぐためにも早期発見と対処をすることが重要です。