第112回 良質な油
2018.3.6 - [栄養]
油には細胞膜の形成や、肌や髪を健康に保つ、脳や神経の機能を保つ、ホルモンの材料になる等の役割があり、不足すると血管が弱くなったり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収が悪くなってしまいます。
また、不足は肌のツヤや髪のパサつきの原因にもなるので油抜きダイエットではキレイになれないのです。
■体に良い油とは?
「油」と一括りにしてもその種類は様々で、体にどう影響するかは種類により異なります。
摂るべき量もそれぞれ異なり、積極的に摂りたい油・控えたい油があります。
【飽和脂肪酸】
肉類、バター、乳製品、パーム油に含まれるのが、飽和脂肪酸と呼ばれる種類の油脂です。
常温では固体であることが多く、酸化しにくいという特徴があります。
摂り過ぎると悪玉コレステロールが増え、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病に繋がります。
飽和脂肪酸の中でも、体内での消化吸収・代謝が速く、体に脂肪が付きにくい種類のものもあります。
ココナッツオイル(パーム油とは別の種類)に代表される「中鎖脂肪酸」というものです。
善玉コレステロールの働きを助け、悪玉コレステロールを減少させる働きがあり、中性脂肪の循環がスムーズになり、ダイエットや健康に役立ちます。
【不飽和脂肪酸】
常温で液体であることが多く、光や空気、熱によって酸化しやすい性質があります。
不飽和脂肪酸は以下の3種類に分けられ、オメガ3と6は体内で作ることができないため、食品から摂る必要のある「必須脂肪酸」です。
●オメガ3(多価飽和脂肪酸)
「DHA」や「EPA」などがこれに分類され、青魚、えごま油、アマニ油に含まれます。
中性脂肪やコレステロール値を抑制、血管をしなやかにして血流を改善、月経前症候群(PMS)の緩和、冠動脈疾患の予防などの効果が認められています。
ほとんどの人が不足しがちな脂肪酸であり、1日1~2g程度の摂取が推奨されています。
●オメガ6(多価飽和脂肪酸)
オメガ6の代表的な脂肪酸は「リノール酸」です。コーン油、綿実油、ゴマ油などに含まれ、オメガ3と6の摂取比率は1:4が望ましいとされています。
必須脂肪酸ではありますが、現代では過多の人が多く、生活習慣病やアレルギーを悪化させるリスクがあると考えられています。
●オメガ9(一価飽和脂肪酸)
オメガ3、6が酸化しやすいのに対し、オメガ9はそれらに比べ酸化しにくい特徴を持っているため、加熱調理に向いています。オリーブオイル、キャノーラ油(なたね油)、紅花油などに含まれます。飽和脂肪酸の代わりに摂ると、悪玉コレステロールを減らすと言われ、動脈硬化の予防に役立ちます。
■体に悪い油とは?
植物性油脂に、水素添加することで生成される「トランス脂肪酸」ですが、マーガリン、ショートニングに多く含まれるので、それらを原材料に使ったお菓子、パン、ケーキ、揚げ物などに多く含まれています。
体に不要な脂肪酸であり、摂り過ぎると悪玉コレステロールを増加させ、生活習慣病のリスクを高めると、WHO(世界保健機構)による注意勧告があります。
トランス脂肪酸は外食や加工食品各種に含まれることが多いので、そうした食品を食べる機会の多い人ほど、やはり摂取量が多くなってしまっています。
賢い油の摂り方 5か条
① 食事のメインはバラエティ豊かにする
タンパク源は肉、魚、卵、豆から各種摂るようにすることで、各種脂肪酸のバランスが整います。
②魚は新鮮なうちに
魚に多く含まれるDHA・EPAは酸化しやすいので、購入後は早めに食べましょう。
魚のオメガ3脂肪酸は、刺身が最も効率良く摂取できます。
③オリーブオイルを活用
生でも加熱調理でも、オリーブオイルは優秀な油です。
酸化しにくいオメガ9脂肪酸であるオリーブオイルは加熱に強いですし、風味が良いのでそのままサラダのドレッシングにしても美味しいです。
④マーガリンよりもバター
トランス脂肪酸の多いマーガリンよりも、バターのほうがベター。
しかしながら、バターも飽和脂肪酸を含みますので、あくまでも適量にしておきましょう。
⑤おやつには和菓子やナッツ、ドライフルーツを
市販の洋菓子には、ほぼトランス脂肪酸が多く含まれています。
手作りをしてもバターや生クリームなど飽和脂肪酸が過多になりやすいです。
洋菓子よりも、脂肪分の少ない和菓子や、不飽和脂肪酸の多いナッツ、ビタミンや食物繊維を補給できるドライフルーツがおすすめ。
ダイエット中だからといって油をまったく摂らないようにする極端なダイエットではキレイに痩せらせません。
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を控え、オメガ3、9など良質な油を摂るように心がけると、美容・健康に繋がります。