「かくれ貧血」をご存知ですか？
貧血といえばヘモグロビンや鉄の不足が思い浮かぶと思いますが、この場合の鉄不足は、肝臓や骨髄などに蓄えられている「貯蔵鉄」、“フェリチン”不足です。
フェリチンは、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を増やし、脳が正常に働けるようにするのを手助けしたり、新しい細胞への入れ替わりを促して肌をきれいにしたり、体内のあらゆる場所で細胞増殖を助け、不調を改善してくれるため、不足すると様々な症状が起こります。
酸素を運ぶという生命維持に不可欠なヘモグロビンの鉄が優先され、フェリチンの鉄のほうが先に底をつきやすいのです。
ドーパミンが不足すれば幸福感の減少に、セロトニンの不足は抑鬱状態に、メラトニンの不足は不眠につながります。
原因不明の肌荒れ、不眠、うつ、頭痛、慢性疲労などの裏には、このフェリチン不足の可能性があるそうです。
女性３０００人を調べたある調査によると、半数もの人がフェリチン不足だったそうです。
一般的な血液検査で貧血を疑う場合、赤血球やヘモグロビンを調べると思いますが、この検査でヘモグロビンが基準内であれば「正常」と診断されるケースが多いため、かくれ貧血に気付かないことも。
一般的な健康診断や貧血の検査では、フェリチンを検査することは稀であるため、自ら申し出る必要があります。気になる方は健康診断のときなどに検査を依頼してみるのも良いでしょう。

□簡単にチェックできる方法
鏡の前に立ち、下まぶたを指で下げて、下まぶたの裏の色をチェックしてみましょう。
白っぽい場合はフェリチン不足の可能性が。
白くなくても、根気が続かない、抗うつ薬を服用してもうつ状態が改善されないなどの場合はフェリチン不足の可能性があるようです。
気になる場合は、医師にご相談を。　

□食事で改善
鉄には、肉や魚に含まれた比較的吸収されやすい「ヘム鉄」と、野菜や海藻に含まれ吸収されにくい「非ヘム鉄」の２種類があります。
ヒジキやほうれん草に含まれるのは非ヘム鉄のため、吸収されにくいそうです。
また、野菜や海藻類に含まれる鉄は酸化したものが多いため、肉や魚介類に含まれる鉄分に比べて吸収率が低い傾向があります。
野菜類はレモンなどのビタミンＣを一緒にとると、鉄分の吸収率がアップします。
肉や魚と野菜をバランス良く食べることはもちろん、食べ物の組み合わせで鉄分の吸収率を高めて鉄分不足解消を目指しましょう。